2025年3月、頭士奈生樹と共に上海・北京での単独公演を大盛況のうちに終えた「渚にて」。その記念すべき1st『渚にて/On the Love Beach』から30周年となる2025年、初期三作品がCDとアナログ盤でリイシュー!
3作すべてオリジナル・マスターテープを使用、いずれも柴山伸二責任監修による徹底的なリマスタリングを施した高音質盤!
渚にて99年の3rdアルバムは、バンド史上もっとも特異なポジションにある鬼っ子的アルバムとしてオルグ盤LPを密かに愛好するファンも多い2枚組の大作。柴山がハレルヤズで試した「演奏自体の一回性、即興性をあらかじめ書かれた楽曲のフォーマットの中で追求する」コンセプトが、セッションではなく固定されたバンド形態でも有効なのか、そしてそれは一体どうなるのか?が本作レコーディングの動機だったという。それはリードVoも含めたベーシックな録音を全曲スタジオ・ライブで一発録り、歌の録り直しはNGでオーバーダブはコーラスなど最小限にとどめるという大胆な(無謀な)制作方法だった。
パンクな演奏と歌唱には無修正のコンセプトゆえに生まれた齟齬があるとはいえ、一つの荒ぶるバンドの勢いがこれほどの高音質でありのままに記録された例はジャップロックとしては稀有であり、その是非はともかく何より有無を言わせない説得力を持っている。
後戻りの効かない刹那的なインタープレイを切り取った生々しい音質にはピース・ミュージック・中村宗一郎の卓越したエンジニアリング・センスが発揮されており、ロック・バンド「渚にて」としての矜持がそこかしこに現れていると言えるだろう。
竹田雅子の単独作品が最も多く収録されている渚にてのアルバム、という点も注目すべきポイント。もちろんオリジナル・マスターテープから細心の注意を払ってリマスタリングした高音質盤!